■ 種 類 
化学成分の含有有無,度合い 常温での金属組織 長所 短所 製品
        機械的性質 耐食性 SUS410,13Cr
    マルテンサイト組織 強度、硬度、高温度 一定量の炭素が必要 SUS403
クロム系ステンレス             JIS/22種
        SUS430;13Crに比し耐食性、耐熱性が優れ、オーステナ SUS430,18Cr
    フェライト組織 イトより安いのでクロム系生産高の大部分を占める JIS/16種
        多品種;切削性や溶接性 シグマ相、ぜい化現象  
        耐食性 高価;固溶化熱処理 SUS304,18-8
クロム・ニッケル系 オーステナイト組織 機械的性質 低炭素;粒界腐食防止 SUS316
  ステンレス     溶接性     JIS/48種
析出硬化系ステンレス;析出硬化熱処理で非常に高い硬度(耐食性はやや劣る)  SUS630,17-4PH   SUS631,17-7PH
オーステナイト・フェライト系;特に腐食に対して優れる  2相合金  用途は熱交チューブ等  SUS329J1 , SUS329J2L
■ オーステナイト系ステンレスの主要鋼種とその性質及び用途
鋼種 概略組成   性質と用途          
SUS304 18Cr-8Ni   耐熱鋼として最も広く使用        
        家庭用品、建設材料、食品設備、一般化学設備、原子力用  
SUS304L 18Cr-9Ni-低C    304 の極低炭素鋼、耐粒界腐食性に優れる  
        溶接後、後処理できない部品類      
SUS316 18Cr-12Ni-2.5Mo   海水をはじめ各種媒質に 304 より優れた耐食性あり  
        主として、耐孔食材料        
SUS316L 18Cr-12Ni-2.5Mo-低C    316 の極低炭素鋼、 316 の性質に耐粒界腐食性を持たせたもの  
                 
SUS321 18Cr-9Ni-Ti    304 にTiを添加し耐粒界腐食性を高めたもの  
        装飾部品には推奨出来ない      
■ 特  性 ( ステンレスとは、約12%以上のクロムを含有し耐食性を目的とした鋼 )    
< 耐食性>
 1.不動態;ある環境中で金属、合金の腐食傾向が著しく減少した状態で、ステンレスは極めて高い能力を有する
     環境中の水・酸素などの作用でわずかに溶けだしたイオンが、鋼の表面に 1-3nm厚の保護皮膜を形成
     クロム量が多いほど形成しやすい    ニッケルもある環境下で不動態化を容易にする
     JIS G 0579:ステンレス鋼のアノード分極曲線測定方法/30℃ 20%(5%)硫酸溶液中で腐食度測定
 2.腐食と対策
 (a)全面腐食;マルテンサイト系は高強度だが耐食性に劣るので清浄大気中・清水中などで使用
;フェライト系は,近年開発のCr量を増しMoを添加した極低炭素,低窒素鋼が良好で実用鋼といえる
;オーステナイト系は耐食性に最も優れるが,強酸・強アルカリ液で高温で全面腐食を生じる
       Cr・Ni量を増加させるほか,Mo・Cu等を添加することが有効で、最適な鋼種選択が重要
 (b)耐候性;大気汚染度、気象条件、湿度などで異なるが、一般にSUS304、海塩粒子を含む汚染大気中にはSUS316
もらいさび対策は、表面を清浄に保つ/粗い研磨仕上げは表面に異物が付着しやすいので注意
 (c)局部腐食 - - - 主な腐食要因で、一部例外を除いて環境中の塩素イオンが不動態皮膜を破壊する強い作用がある
         (1)粒界腐食;オーステナイト系は 450-850℃(特に650℃)に加熱されると結晶粒界にクロムの炭化物が析出する
ため、その近傍にクロム欠乏域が形成され局部腐食を生じる/溶接時は極めて重要
防止は、再加熱(1050-1100℃)の固溶化熱処理を行うか、低炭素(SUS304L,316L,等)、
安定化元素含有鋼(SUS321,347等)を使用
    フェライト系は 1000℃以上に加熱した後、徐冷すると粒界腐食感受性を生ずる
クロムの炭化物、窒化物が粒界に析出することによって近傍にクロム欠乏領域が形成
防止は、焼きなまし(650-815℃,10-60分保持)を行うか、炭素、窒素を極低下し安定化元素
(Ti,Nb等)を添加する
         (2)孔食;不動態皮膜が局部的に破壊されて、孔状に腐食される  塩素イオンを含有する溶液中で最も起こりや
 すい/次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、塩素水、塩化第二鉄、海水、その他各種ハロゲン化物水溶液
 対策は、モリブデン添加鋼(SUS316,317等)にする。厳しい条件にはCr・Ni・Mo の含有量を増加した特殊形
    フェライト系 SUS444,447J1,XM27等は耐孔食形  オーステナイト・フェライト系 SUS329J2Lは優れた特性
    表面の異物付着、塩素イオンの濃縮を避ける。海水は流速を上げる(1.5m/s以上)
         (3)すきま腐食;構造上、酸素の供給不足や溶液中に含まれるイオンの濃縮などによって濃淡電池を形成し、すき
 ま部では不動態皮膜が破壊されやすい。防止は材質改善より構造的配慮が大切
         (4)応力腐食割れ;引張応力(残留応力、外部応力)と腐食作用とで材料に割れをもたらす現象でオーステナイト系に多い
 「粒内割れ」結晶粒を貫く 、 「粒界割れ」結晶粒界に沿って割れが進行する  に分類される
 「粒内割れ」 塩化マグネシウム・塩化カルシウム・塩化ナトリウム等の高温塩化物水溶液で最も起こりやすい
塩素イオンを含む温水や、スチーム・高温アルカリ水溶液中でも発生する
対策は、Ni含有量を 40%以上にする必要があるが、経済的に難がある
 孔食を起点として発生する場合は、Mo添加鋼で対応する。材料以外の対策は、引張応力
 の低減と表面を定期的に洗浄し、60℃以下で操業すること
 「粒界割れ」 高温水(Cl,O2)・高温アルカリ水溶液・ポリチオン酸等の環境中で多い
耐粒界腐食鋼(SUS304L,316L,321,347など)の使用が奨められます
フェライト系は溶接により粒界割れの可能性があるが、C・Nの低下とTi・Nb等を添加した改善鋼が推奨
 (d)高温ガスによる腐食 - - -乾食(水溶液による腐食は湿食)
         (1)高温酸化;大気中で長時間高温にさらすと表面がボロボロになる現象で、ステンレスは優れた耐食性を示す
 不動態と異なる保護酸化膜による効果で SUS304 で 870℃(繰り返し酸化)の耐用温度です
 Cr含有量が多いほど良く、その他Si・Al・Ni・ 希土類元素の微量添加も有効
         (2)硫化;硫化水素ガス・亜硫酸ガスなどの雰囲気中で起こり、S が粒界に拡散侵入する。硫化物は極めて融点
 が低いため保護性に欠け、600℃以上で耐えられる実用合金は殆どありません
 Ni は低融点の硫化物を形成しやすいため、50%以上含有する合金の使用は避ける
         (3)浸炭;CO・CH4メタンなどの炭化水素・活性炭素が吸着し拡散することで炭化物を形成するためもろくなる現象
 ステンレスの浸炭層には多量のクロム炭化物が形成されるため、基質のクロム量が低下し、酸化に弱くなる
 Cr含有量が多いほど良く、Si・Al・Ni・Ti・Nbは安定な炭化物を形成するため耐浸炭性が高まる
         (4)窒化;アンモニアの分解等で生じる活性の窒素ガスが拡散して窒化物を形成する現象で、浸炭と同様の劣化
 Ni含有量の多い合金ほど抵抗性が高く、反面 多量の Crは悪影響(皮膜の固着性が劣化)を及ぼす
         (5)高温ハロゲンによる腐食;揮発性の金属ハロゲン化物を形成するため極めて強い腐食性を示す。また高温の
 塩化ナトリウムは、鋼表面の Cr・酸化Crと反応して保護性の無い物や揮発性の高い物を形成し鋼を損耗
 Ni・Coはハロゲンに対して不活性なため有効、反面 Crは悪影響(生成される塩化物・酸塩化物の揮発性が高い)
         (6)バナジウムアタック(燃焼灰腐食);燃焼ガス中の五酸化バナジウム・硫酸ナトリウム等が融点の低い化合物を生成
 保護性の酸化皮膜を形成するには Cr・Si が有効で、実用合金は 50Cr-50Ni (Ni≦30%悪影響)
 Mo・Wの多量含有は悪影響  硫酸ナトリウム・硫酸カリウム腐食には、クロム量の増加が最も有効
         (7)高温・高圧水素ガスによるぜい化;オーステナイト系は安定な材料とされている
 多量のδ-フェライトや結晶粒界の炭化物を共存させないことが大切
<物理的性質(常温)>
  性 質 密度    線熱膨張係数×10 熱伝導率 比熱 電気比抵抗 ヤング率
材 料   [g/cm3 ] 0-100℃ 0-650℃ [kcal/m・hr・℃] [cal/g/℃] [μΩ-cm] [kgf/mm2 ]
  410(13Cr)   7.75 9.9 11.7 21 0.11 57 20 400
  420   7.75 10.3 12.2 21 0.11 55 20 400
  430(18Cr)   7.75 10.4 11.9 22 0.11 60 20 400
  304(18-8)   8.03 17.3 18.8 14 0.12 72 19 700
  316   8.03 15.9 18.6 14 0.12 74 19 700
  321   8.03 16.6 19.3 14 0.12 72 19 700
    7.87 11.7 68 0.10 9.8 -
  炭素鋼   7.87 11 50 0.12 16 21 000
  アルミニウム   2.70 23 168 0.21 2.75 7 170
    8.93 16.7 320 0.091 1.72 13 200
  チタン   4.51 8.9 15 0.126 55 11 420
■ JIS記号                
<主な記号> 前置記号 鋼種記号 後置記号 質別記号
(例) SUS   304   CP   No.2B
SUS304  ステンレス鋼       冷間圧延板   No.2B仕上げ
  CP No.2B
SUS: ステンレス鋼棒,板,帯,線材,線,管 B   : 棒(鋼片、鍛造品含む) H     : 棒の熱間仕上げ
SCS: ステンレス鋼鋳造品 HP : 熱間圧延板 CD   : 棒の冷間引抜仕上げ
SUH: 耐熱鋼棒,板 CP : 冷間圧延板 CT   : 棒の切削仕上げ
SCH: 耐熱鋼鋳鋼品 HS : 熱間圧延帯 CG   : 棒の研削仕上げ
D   : ステンレス鋼被覆アーク溶接棒 CS : 冷間圧延帯 No.2D: 冷間圧延板,帯の艶消し仕上げ
Y   : 溶接用ステンレス鋼棒,ワイヤ WR : 線材 No.2B: 冷間圧延板,帯のスキンバス仕上げ
YB : ステンレス鋼帯状電極肉盛溶接材料 WS : 軟質線 BA   : 冷間圧延板,帯の光輝熱処理仕上
YF : ステンレス鋼アーク溶接フラックス入りワイヤ WH : 硬質線 No.3 : 100-120番研磨仕上げ
TP 配管用管 No.4 : 150-180番研磨仕上げ
TPD: 一般配管用管 HL   : ヘアーライン研磨仕上げ
TPY: 配管用アーク溶接大径管 1/4H  冷間圧延板
TK : 構造用管 1/2H  帯の冷間圧延仕上げ
TF : 加熱炉用管 3/4H  (H が最も高強度)
TBS: サニタリ管 H  
TB : ボイラ・熱交換器用管 S-H : 管の継目無し熱間仕上げ
P   : 板(耐熱鋼のみ) S-C : 管の継目無し冷間仕上げ
A    : 管の自動アーク溶接
A-C : 管の自動アーク溶接冷間仕上げ
<鋼種記号>
300番台   オーステナイト系ステンレス
400番台   クロム系ステンレス